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メイドとジェントルマンの恋

ヴィクトリア時代にメイドとジェントルマンが結婚したケースがあった。
これだけ聞くとロマンスだが、この二人には裏があった。
裏というより奥行きかもしれない。
身分違いの恋、マニア、フェチ、覗き、SM、コスプレ、トランスジェンダー…
二人の関係には様々な要素が含まれている。


◆アーサー・ジョセフ・マンビー 
1828-1910 82歳没
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アーサーはアッパー・ミドル・クラスに生まれ、ケンブリッジ大学を卒業して法廷弁護士となった。
二十代の頃から、趣味として女性労働者の生活や写真を収集していた。
当時蔑まれていた女性労働者に尋常ではない関心を抱き、
彼女たちの労働内容、服装、人格を毎日執拗に記録していた。
労働者階級の女たちを観察したいという欲求のためだけにフランスに出かけたこともあった。
街で女性に気安く話しかけるという習慣が災いして、
切り裂きジャックの疑いをかけられたこともあった。
この趣味は家族も友人も誰一人知る者はなかった。


◆ハナ・カルウィック 
1833–1909 76歳没
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ある日、アーサーは黒いボンネットを被った長身で姿勢の良い女性を見かけ話しかけた。
彼女の名はハナ・カルウィック、8歳からメイドとして働いてきた女性だ。
アーサー25歳、ハナ20歳の時のことだった。

二人はアーサーの部屋で秘密の時間を過ごすようになる。
しかしこれは大変危険なことだった。
当時、身分違いの恋愛は、アーサーにとってもハナにとっても、
解雇されても当然のタブーだったのである。
しかし、二人は密室でファンタジーを楽しんだ。

ハナは外出着ではなく汚れた雑役女中の服を着て、
彼の足もとに跪いてブーツを舌できれいにした。
ハナがいろいろな女性や男性に扮したコスプレ写真も撮っている。
ハナがアーサーを持ち上げて部屋を歩き回ったりもした。
ハナは手首に奴隷のバンドを巻き、首には鍵付きの首輪をしていた。
二人は一緒のときは部屋でプレイし、離れている時には日記でプレイをした。
時には、アーサーは勤め先でハナが玄関回りを四つんばいになって掃除しているところを
見に来たりした。


メイド
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貴婦人
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男装
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煙突掃除夫
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聖女
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アーサーはこうした携帯型アルバムの左右に
ハナの対照的な写真を入れて持ち歩いていた
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19年後二人は、アーサー44歳、ハナ39歳の時に結婚したが、ハナは乗り気ではなかった。
秘密の結婚式を挙げ、フランスでのハネムーンから戻ると、
ハナは貴婦人のドレスを脱ぎ再びメイドを続けた。
それはアーサーの希望でもあった。

後に一時同居したこともあったが、うまくいかなかった。
ファンタジーと日常生活の両立が難しかったのだろう。
ハナは田舎に移った。
お互いに行き来はあったが、生涯別居のままであった。
二人の関係は死が二人を分かつまで50年に及んだ。


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by wMUGIw | 2015-02-01 00:00 | 近代
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