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by wMUGIw
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パストン家の書簡集 その5

ジョン3世は恋愛結婚を果たす。
恋人マージョリーの父トマス・ブルーズも紳士階級で、
パストン家とは釣り合いのとれた家柄であった。
しかしブルーズ家は娘の相手にもっと金持ちの男を、
パストン家は息子の相手にもっと持参金の多い女を求めていたため、
縁談は一時暗礁に乗り上げた。

ジョン3世は二男であるため自分の領地は狭かったし、
マージョリーは姉妹ばかりだったため一人の持参金だけ多くするわけにもいかなかった。
(ただし、ジョン3世は後に兄が先に亡くなったためパストン家当主となる)


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恋人の母エリザベス・ブルーズからジョン3世への手紙 1477年02月10日

先日ノリッジで私達家族を歓待いただきましてありがとうございました。
私は昼も夜も気持ちの休まる時がありません。
娘が私に結婚話を進めてほしいと涙ながらに責め立てるからです。

今度の金曜日はバレンタインデーです。小鳥たちが結婚相手を選ぶ日です。
もし木曜日にこちらに来られるなら、ぜひ月曜日まで御滞在ください。
きっと夫と話をすることができると思います。
今度こそ結論に達しますように。
あれはただのオークの木 斧の一振りで倒れてしまう
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恋人マージョリー・ブルーズからジョン3世への手紙 1477年02月

母は一生懸命父に縁談の話をしてくださっていますが、
あなたが御存知のところまでしか進展しておりません。
私がどんなに悲嘆にくれているかは神様だけが御存知です。
たとえあなたが所有しておられる領地の半分しかお持ちになっておられなくとも、
私はあなたと離れたくはございません。
世の中のどのような女性にもまして、いかなる辛い仕事でもする覚悟でございます。
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恋人マージョリー・ブルーズからジョン3世への手紙 1477年02月

私の父は100ポンドと50マルク以上の財産は、
一文たりともくれないということを率直にお知らせしなければなりません。
この金額はあなたの希望とは程遠いものです。
ですからあなたがこれだけの持参金と、私のつたない人柄に満足していただけるのでしたら、
私はこの世で最高に幸せな娘でございます。
もしこれで満足なさらずもっと持参金をお望みでしたら、
この問題にこれ以上わずらわされることなくお忘れ下さい。
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ジョン3世の母マーガレットから
マージョリーの母エリザベス・ブルーズへの手紙 1477年06月11日

お嬢様のマージョリーと息子ジョンとの結婚をめぐって、
幾度となく繰り返された交渉を覚えておられることと存じます。
私の生涯でいかなる話にもまして、この縁談を喜んでおりました。
今ではその喜びと同じぐらい大きな悲しみに打ち沈んでおります。
破局にいたった落ち度が、どこに誰にあるのか、私にはわかりません。
しかしもしその落ち度が私の家族にあるのでしたら、
御主人様と一緒にノリッジに滞在されるようお計らい下さい。
私がそちらに伺います。そうすればお別れするまでにどこい間違いがあるのか判明するでしょう。
そして奥さまの御尽力と私の協力で、
この縁組が破談とならないように何らかの手段を講じられると思います。
破談は両家にとり、不名誉なことでございます。
もう多くの人に知られているのですから。
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ジョン3世の時代にパストン家は安定期を迎え、ナイトにも叙せられた。
後の子孫にもサーやレディの称号を持つ者が多くいた。
パストン家の繁栄は17世紀まで続いたが、多くの家と同じく没落した。


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# by wMUGIw | 2012-01-05 00:00 | 中世

パストン家の書簡集 その4

◆ジョン・パストン2世
先代の子
1442-1479 37歳没 未婚

*エドワード4世王妃エリザベス・ウッドヴィルのイトコである
宮廷女官アン・ホートと婚約するが、ずるずると延びた後に婚約破棄する。

*26歳の時に婚約して36歳でローマ教皇に破棄が認められるまで、
長い年月と莫大な費用がかかった。
結果、ジョン2世は結婚の機会を逃してしまう。


●庶子 コンスタンス





ロンドンで貴族に仕えていた長男ジョン2世は、
エドワード4世王妃エリザベス・ウッドヴィルのイトコである
女官アン・ホートと勝手に婚約する。


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母マーガレットから息子ジョン2世への手紙 1469年04月

あなたの婚約について詳しくは知りません。
でも本当に婚約したのだったら、
あなたが喜びと尊敬を得られるように神様に祈ります。
あなたが言う通りの素晴らしいお嬢様なら、
きっとその両方を与えてくれるでしょう。
神の前では
あなたはすでに結婚しているのと変わらぬ義務を相手に負っているのですから、
妻に対するのとおなじようにあらゆる点で彼女に忠実に振る舞わねばなりません。
ただし収入の道がもっと確かになるまでは、急いで結婚しない方がいいと思います。
どんなに費用がかかるか知っているでしょう。
費用を賄えないとなると、大問題になります。
ですから地所を手に入れられるように努力して、
自分の物として確保してから結婚するようにすべきです。
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また二女マージョリーも、使用人リチャード・コールと秘密結婚をする。
マージョリーは20歳、コールは30代前半であった。
コールは使用人のトップである家令で、
15年以上パストン家に仕えている優秀な右腕であった。


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リチャード・コールからマージョリーへのラブレター 1469年

私の愛しいお嬢様、そして神の御前では妻であるあなたに、
深い悲しみにあふれる心で御挨拶します。
二人の間に交わされた結婚という強い絆を考えると、
私達が今送っている生活は神様や世間を喜ばせるものではありません。
一緒に暮らす権利のある私達が、もっとも離れているのですから。
最後にあなたと言葉を交わしてから1千年も経ったように思います。
全能の神が二人の愛情を祝福して下さるならば、
速やかに私達に安らぎを与えて下さるように祈っています。
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母マーガレットから息子ジョン2世への手紙 1469年09月10日

先週の木曜日お義母様と私はノリッジの司教様を訪問すると、
司教様は、マージョリーを尋問するよう何度も依頼されているので
これ以上引き延ばすわけにはいかない、
そして翌日必ずマージョリーを連れてこないと
あなたたちは教会から破門されるとはっきりおっしゃいました。
私はきっぱりと
「娘を連れてくるつもりもないし、一人で来させるつもりもない」と返事しました。
「それなら迎えを寄こすから必ず娘の外出を許すように」と命じられました。

金曜日に司教様は迎えの者を寄こされました。
司教様はマージョリーにとても率直に語りかけ、
彼女の生まれと親戚や友人のことを思い、彼らの忠告に従えば得るものが大きいが、
それに背けば不名誉と恥辱と損失をこうむることになると話して下さいました。
また彼女は彼らから捨てられることによって、
得られるはずの善意も助けも慰めも失ってしまうと説いて下さいました。
さらに司教様は「周囲の人々の意に添わない人物を愛しているそうだが、
相手にどんなことを言ったのか話しなさい。
結婚が成立しているかどうか判断するから」とお尋ねになりました。
そこで彼女は彼に誓った言葉を繰り返しました。
大胆にも、この言葉で不十分ならもっとはっきり誓いますとまで言いました。
このふしだらな言動は、お義母様と私を深く悲しませました。
すると司教様も、「それでは家族も友人達もあなたを受け入れてはくれないだろう」と言ってくださいました。
次にコールが呼ばれ、
彼女の言葉、彼の同意の言葉、それが行われた時間と場所を尋問されました。
間違いがないことが確認されると、
司教様は「他に何か結婚を防ぐ方法があるかもしれない。結論を急がずに保留する」
とおっしゃいました。

私は召使に「娘を家に入れてはならぬ」と命じました。
さらに「娘が訪ねてきても家に入れないで下さい」と
2,3人の所にも使いを走らせました。
そこで司教様は
彼女を判決の日までロジャー・ベストの邸宅に泊まれるよう手配されました。
お二人が厄介者を背負い込むことになって気の毒に思いますが、
彼女がしばらくそこに滞在する方が私には好都合です。

あまり深く悲しまないで下さい。
あなたの心が深く傷ついているのはよくわかっています。
それは私や他の者も同じ気持ちです。
でもあの子はもううちの娘ではないのです。
ふしだら者を失ったに過ぎないと考えましょう。
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司教はマージャリーとコールの言い分を認め、
10月二人はようやく正式に結婚ができた。
夫妻は3人の息子をもうけた。

コールは家令であったが、家令・管財人・金庫係・使用人の監督という
通常4人は必要な仕事を一人でこなす優秀な使用人であったため、
一度はパストン家から解雇されたものの、呼び戻され長くパストン家に仕えた。


二女のアンも使用人パンピングと恋をしていた。
コールと同じく15年間パストン家に仕えた信頼できる使用人だった。
しかしマージョリーの二の舞を恐れた家族は、
パンピングを転職させることで危険を回避した。
アンは22歳の時に、紳士階級のウィリアム・イェルヴァートンと結婚する。


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# by wMUGIw | 2012-01-04 00:00 | 中世

パストン家の書簡集 その3

◆ジョン・パストン1世
先代の子
1421-1466 45歳没


■妻 マーガレット・モウトビー 1440年頃、夫20歳&妻15歳頃に結婚
1420年代-1484
*大地主の一人娘


●ジョン2世 次代当主
●ジョン3世 次々代当主
●エドモンド2世
未亡人キャサリン・クリップスビーと結婚死別・未亡人マーガレット・ロムナーと再婚
●マージョリー 使用人リチャード・コールと結婚
●アン ウィリアム・イェルヴァートンと結婚
●ウォルター 20代没
●ウィリアム3世 長く貴族に仕えていたが精神病となる




ジョン1世は大地主の一人娘マーガレット・モウトビーと結婚する。
ジョン1世はケンブリッジ大学在学中の20歳で、マーガレットは15歳頃だった。
ちなみに、当時の女性の最低結婚年齢は12歳である。

マーガレットは夫によく尽したが、姑と同じく
死後の埋葬場所には夫の隣ではなく実家の両親の墓の隣を選んだ。


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妻マーガレットから夫ジョン1世への手紙(抜粋) 1441年12月14日
*この時マーガレットは最初の子を妊娠中だった。

お義父様がロンドンからお帰りになられた時、あなたに
「マーガレットのドレスを仕立てるために
マスタードヴィラーズ製の布地を買うように」
と命じておいたとおっしゃっています。
もしあなたがまだ購入されていないのでしたら、
買って至急お送り下さるようお願いします。
私はこの冬、
黒色と緑色の混ざったウールのもの以外に着るドレスを持っていないからです。
ガードルについては、
「ガードルを作らせることを考えつかなかったのはジョンの手落ちだ」
とおっしゃっています。
もしあなたが買って下さるつもりでしたら、
家にお帰りになる前に作らせるようお計らい下さいませ。
と言うのも、今ほどガードルを必要とする時期はないからです。
最近とてもほっそりしてきましたので〔妊娠中なので逆のジョーク〕
どのガードルもつけることができないからです。
私を見た人すべてに妊娠がバレてしまうでしょう。
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しかしこの頃から未亡人となった母アグネスが屋敷の建て替えを計画し、
近隣とのトラブルが発生するようになる。
新しい屋敷の予定地は教会の隣で、
教会へ続く道が一つ壁で封鎖されるため村人たちの強い反感を招いた。


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母アグネスから息子エドマント1世への手紙 1445年

木曜日、壁が1ヤードの高さになりました。
金曜日、誰かが全部突き崩してしまいました。いまだに誰がやったのかわかりません。
司祭様がお越しになり、
「ワリン・キングとワリン・ハーマンが朝のお祈りの時間に副司祭様に
『あの壁は絶対に取り壊すべきだ』と伝えてくれと頼んだ」とおっしゃいました。
私は何と言っていいかわかりませんでした。
司祭様も争いごとは起こしたくないとおっしゃっていました。

日曜日には、
教会でクレメント・スパイサーが「なぜ公道をふさいだんだ」とくってかかってきました。
私は「自分の家の道をふさいだだけだ」と言ってやりました。
それを聞いていたワリン・ハーマンも身を乗り出して、
「あの改築は村にとっていい迷惑で、100ポンドの損害をこうむった」と言いました。
私は「人の話に口をはさむとは、礼儀知らずもはなはだしい」と言ってやりました。
彼は「道をふさいだお詫びとして20ノーブル払うべきだ。そして塀は取り壊すべきだ」
と言いました。
私は「塀を壊した者は誰であろうと弁償させる」と言い返しましたが、
「あんたが常に見張っていればなんとかなるかもしれないが、
結局は金を無駄に使ったことになるだろう」と言いました。
私は「もし塀が引き倒されるようなことがあれば、下手人はお前だ」と言ってやりました。
すると彼は「たとえ20ノーブル取られるはめになろうと、塀を壊してやる」と言い、
ワリンの妻は「地獄の悪魔があの道を作った女の魂を地獄に引きずり下ろせばいい」
と大声で言いました。
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さらに、パストン家の土地財産を狙って他家からの攻撃も始まる。
パストン家付司祭ジェイムズ・グロイスが、
パストン家が土地問題で争っている相手ジョン・ウィンダムと刃傷沙汰と起こす。


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妻マーガレットから夫ジョン1世への手紙 1448年05月

グロイスが町から帰って来た時、ウィンダムとその手下達が運河の側に立っていました。
グロイスは彼らの前を通る時に帽子を取りませんでした。
ウィンダムに非礼をとがめられたグロイスは言い返しました。
するとウィンダムはナイフを抜いたので、グロイスは自分もナイフを抜き、
お義母様の敷地に逃げ込みました。
ウィンダムとその手下たちも敷地に入り込み、
パンの塊ほどもある石を玄関に投げつけて帰っていきました。
争う声を聞いたお義母様と私は聖体拝領を行っていた教会から外に出てみました。
ウィンダムはお義母様と私を売春婦呼ばわりし、
「パストン家は誰も彼も親類縁者に至るまで農奴だ」と言ったので、
私達は「お前は嘘つきの下賤な人間で、お前こそ農奴だ」と言ってやりました。
すると彼はもっと失礼なことをたくさん言いましたが、
それは後で私の口からお伝えします。
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マーガレットが妻の座にあった間、パストン家は3回襲撃を受けている。
1度目は、パストン家が買ったグレシャム荘園を買い損ねたモーリンズ卿が
サフォーク公爵を後ろ盾にしてしてグレシャムの城館を襲い、
一時はモーリンズ卿の手に落ちるという事態に発展した。
パストン家はグレシャムの領地内に一軒家を確保し、起死回生を図った。
この手紙の直後、モーリンズ側は弓矢・銃・刀剣などの武器を手に
大集団でマーガレットが守る館に侵入し、12人いた使用人を蹴散らし、
壁を破って乱入し、一人で部屋に立てこもっていたマーガレットを家の外に放り出した。
紆余曲折を経て、数年後グレシャム荘園はパストン家の所有に戻った。

2度目は、サフォーク公爵がパストン家所有のドレイトン荘園を占拠した。
マーガレットは川を挟んだ隣の領地で守備隊を結成して采配を振るい、
奪還に成功する。

3度目は、4代ノーフォーク公爵がパストン家所有のケイスター城を占拠した。
この時ジョン1世はすでに亡くなっていたため、
未亡人のマーガレットは次男のジョン3世とともに戦ったが、
3000人の兵力には勝てず降伏した。
これも紆余曲折を経て、
ケイスター城はマーガレットの存命中にパストン家の所有に戻った。


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妻マーガレットから夫ジョン1世への手紙 1448年

誠に崇拝に値するあなたに御挨拶申し上げます。
クロスボウとそれを発射する装置、
それから太弓を送って下さるようお願いします。
うちの家屋は低すぎるので、長い矢は発射できません。
これほど必要に迫られている時はないのに。
それから扉を守るのに短い斧を2,3丁と、
できるだけたくさんの革よろいの入手をお願いします。

アーモンド1ポンドと砂糖1ポンドを買って下さい。
子供達のガウンの布地もお願いします。私の頭巾用に、
1ヤード44ペンスか4シリング程度の黒色の広幅ラシャ地を買って下さい。
この町には良い布地も良いラシャ地も売っていません。
ヘイの奥さんの店が、一番安くて一番良い品があると聞いています。
子供達のガウンは、品物が届けば私が縫うつもりです。

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2度目の土地争いでは仲裁に入ったノリッジの司教が、
土地の所有権を示す証文か何かを者をサフォーク公爵に見せたらどうかと提案する。


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ジョン・パストン1世の手紙 1465年
 
紳士たるもの、貴族に迫られて自分の土地の所有権を示す証拠を提出するようでは、
紳士階級の利益と福利に反します。
かくのごとく紳士が貶められるような実例を作る気は、私には微塵もありません。
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# by wMUGIw | 2012-01-03 00:00 | 中世

パストン家の書簡集 その2

◆ウィリアム・パストン
1378-1444 66歳没


■妻 アグネス・ベリー 1420年、夫42歳&妻18歳で結婚
1405-1479 74歳没
*大地主の一人娘


●ジョン1世 次代当主
●エドモンド1世 24歳没
●エリザベス 
名家ロバート・ポイニングズと結婚死別・政治家ジョージ・ブラウンと再婚死別
●ウィリアム2世 サマセット公爵の娘レディ・アン・ボーフォートと結婚
●クレメント2世 26歳没



ウィリアム・パストンは大地主の一人娘アグネス・ベリーと結婚する。
アグネスは夫によく尽くしたが、
死後の埋葬場所には実家の両親の墓の隣を選んだ。


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母アグネスから息子ウィリアム2世への手紙 1458年

クレメントがどれだけ勉学の義務を果たしているか、書面で報告させなさい。
もし彼が真面目に勉強をしないようあれば、容赦なく先生に鞭の体罰をお願いしなさい。
ケンブリッジ在学中の先生もそうして下さって、とても良い結果をもたらしましたから。
きちんと目的を果たせないぐらいなら、
クレメントはさっさと埋葬されてしまってもいいと私は思っています。

それからクレメントが服を何着持っているか調べて、
すり切れている物があったら修繕させるように。
短い緑色の上着と短いマスターデヴィラーズの上着を持っていますが、
どちらも一度も修繕したことがありません。
短い青い上着は、
私がロンドンに行った時に長い物を修繕して短く仕立て直させたものです。
長い小豆色の上着でビーバーの毛皮で裏打ちしてある物は、2年前の今頃作ったものです。
紫色の長い上着は1年前の今頃作りました。
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妻アグネスから夫ウィリアムへの手紙 1440年04月20日

*息子ジョン1世の縁談についての手紙
妻となるマーガレット・モウトビーは大地主の跡取り娘であった。

愛するあなたに心からの御挨拶を申し上げます。神様の祝福がありますように。
例のお嬢さん〔マーガレット〕が今夜リーダムからいらして、
無事にお帰りになったとあなたに報告できますことを神に感謝いたします。

ジョンは元気づきながらも賢く振る舞い、
お嬢さんは彼はいかにもあなたの息子にふさわしい方だとおっしゃいました。
こんな具合ですので、二人のことはあれこれ話し合う必要もないでしょう。
司祭さんは、あなたがお嬢さんにドレスを贈れば、
彼女のお母様が上等の毛皮を贈って下さるだろうとおっしゃっています。
ですからドレスを買う必要があります。
色は上品な青色か鮮やかな紅色になさいませ。
私には黄金色の糸巻を2本お買い求め下さるようにお願いします。

あなたの養魚池は大丈夫でございます。
三位一体の神様があなたをお守り下さいますように。
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しかし、娘の縁談の方はそううまく運ばなかった。
母アグネスが見つけてきた相手ステファン・スクローブは、
かなりの資産家であったが、妻を亡くした子持ちの50歳前後の病弱な男であった。
まだ20歳の娘エリザベスはこの縁談を嫌がったため、監禁されてしまう。


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親類/監視係エリザベス・クレアから
エリザベス・パストンの兄ジョン1世への手紙 1449年

エリザベスは秘かにニュートン修道士に頼んで私に伝言をしてきました。
彼女の悲惨な状況をあなたに知らせてほしいと言っています。
エリザベスはこれまでにないほど悲嘆に暮れています。
彼女は誰が訪ねてきても、誰とも言葉を交わすことも許されていません。
彼女は週に一度か二度はぶたれています。
時には日に二度のこともあります。頭が2,3ヶ所裂けてしまっています。
もしあなたがもっと良い結婚相手を見つけることができるなら、
できるだけ早くうまい具合に実行なさるようお勧めします。
最近お父様を亡くされた美男子があなたの法学院にいるとお聞きしましたが、
もしその男性がスクロープ氏より良い結婚相手だったら、
貴方はそのために労を取るべきです。
悲しみというものは、
しばしば女性をあるべき姿とは別のやり方をさせてしまうものですから。

あなたの召使にも他の誰にもこの手紙を見られないように、
どうぞ焼き捨てて下さい。
もし私がこのような手紙をあたなに書き送ったことがお母様に知られたら、
私は絶対に嫌われてしまうでしょうから。
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幸か不幸かこの縁談はまとまらなかった。
それから10年、エリザベスには縁談がなかった。


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妻マーガレットから夫ジョン1世への手紙 1454年

お義母様〔アグネス〕は小言ばかりおっしゃり、
義妹〔エリザベス〕は敵意を抱いており、もう私達はうんざりしています。
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エリザベスは29歳の時に良縁を得て、名家ロバート・ポイニングスと結婚する。
しかし2年後、ロバートは戦死した。
さらに10年後、42歳の時に国会議員ジョージ・ブラウンと再婚するが、
ジョージは国王リチャード3世に反逆して処刑された。
エリザベスは5年後、59歳で亡くなった。


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# by wMUGIw | 2012-01-02 00:00 | 中世

パストン家の書簡集 その1

パストン家はイギリスのノーフォーク州のジェントリー(紳士階級)で、
15世紀から16世紀まで数代に渡って交わされた手紙が多く残っている。
この時期イギリス国内は薔薇戦争が起きていた時期でもある。
30年に及ぶこの戦争中パストン家の人々も徴兵されたり、
また遠くの大学に進学したり、貴族や宮廷に仕えたり、
ロンドンに訴訟に向かったりと、たびたび地所を留守にした。

それまで読み書きができる上流階級の者は、
フランス語かラテン語を使用するのが常であった。
14世紀後半に公式にフランス語から英語に切り替わり、
それにつれて英語での手紙のやりとりが増えるようになった。
パストン家の書簡集も英語で書かれている。
ただし上流階級でも読み書きができる者は限られており、
基本的に手紙は代筆・代読されていた。




◆ウィリアム・パストン
1378-1444 66歳没


■妻 アグネス・ベリー 1420年、夫42歳&妻18歳で結婚
1405-1479 74歳没
*大地主の一人娘


●ジョン1世 次代当主
●エドモンド1世 24歳没
●エリザベス 
名家ロバート・ポイニングズと結婚死別・政治家ジョージ・ブラウンと再婚死別
●ウィリアム2世 サマセット公爵の娘レディ・アン・ボーフォートと結婚
●クレメント2世 26歳没





◆ジョン・パストン1世
先代の子
1421-1466 45歳没


■妻 マーガレット・モウトビー 1440年頃、夫20歳&妻15歳頃に結婚
1420年代-1484
*大地主の一人娘 


●ジョン2世 次代当主
●ジョン3世 次々代当主
●エドモンド2世 
未亡人キャサリン・クリップスビーと結婚死別・未亡人マーガレット・ロムナーと再婚
●マージョリー 使用人リチャード・コールと結婚
●アン ウィリアム・イェルヴァートンと結婚
●ウォルター 20代没
●ウィリアム3世 長く貴族に仕えていたが精神病となる





◆ジョン・パストン2世
先代の子
1442-1479 37歳没 未婚

*エドワード4世王妃エリザベス・ウッドヴィルのイトコである
宮廷女官アン・ホートと婚約するが、ずるずると延びた後に婚約破棄する。

*26歳の時に婚約して36歳でローマ教皇に破棄が認められるまで、
長い年月と莫大な費用がかかった。
結果、ジョン2世は結婚の機会を逃してしまう。


●庶子 コンスタンス 





◆ジョン・パストン3世
先代の弟
1444-1504 60歳没


■前妻 マージョリー・ブルーズ 1477年結婚
1460年代-1495


■後妻 未亡人アグネス・ハーヴィー 1490年代後半に再婚


●前妻の子 クリストファー 早逝
●前妻の子 ウィリアム4世 次代当主 ブリジッド・ヘイドンと結婚
●前妻の子 エリザベス



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# by wMUGIw | 2012-01-01 00:00 | 中世


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