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パストン家の書簡集 その3

◆ジョン・パストン1世
先代の子
1421-1466 45歳没


■妻 マーガレット・モウトビー 1440年頃、夫20歳&妻15歳頃に結婚
1420年代-1484
*大地主の一人娘


●ジョン2世 次代当主
●ジョン3世 次々代当主
●エドモンド2世
未亡人キャサリン・クリップスビーと結婚死別・未亡人マーガレット・ロムナーと再婚
●マージョリー 使用人リチャード・コールと結婚
●アン ウィリアム・イェルヴァートンと結婚
●ウォルター 20代没
●ウィリアム3世 長く貴族に仕えていたが精神病となる




ジョン1世は大地主の一人娘マーガレット・モウトビーと結婚する。
ジョン1世はケンブリッジ大学在学中の20歳で、マーガレットは15歳頃だった。
ちなみに、当時の女性の最低結婚年齢は12歳である。

マーガレットは夫によく尽したが、姑と同じく
死後の埋葬場所には夫の隣ではなく実家の両親の墓の隣を選んだ。


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妻マーガレットから夫ジョン1世への手紙(抜粋) 1441年12月14日
*この時マーガレットは最初の子を妊娠中だった。

お義父様がロンドンからお帰りになられた時、あなたに
「マーガレットのドレスを仕立てるために
マスタードヴィラーズ製の布地を買うように」
と命じておいたとおっしゃっています。
もしあなたがまだ購入されていないのでしたら、
買って至急お送り下さるようお願いします。
私はこの冬、
黒色と緑色の混ざったウールのもの以外に着るドレスを持っていないからです。
ガードルについては、
「ガードルを作らせることを考えつかなかったのはジョンの手落ちだ」
とおっしゃっています。
もしあなたが買って下さるつもりでしたら、
家にお帰りになる前に作らせるようお計らい下さいませ。
と言うのも、今ほどガードルを必要とする時期はないからです。
最近とてもほっそりしてきましたので〔妊娠中なので逆のジョーク〕
どのガードルもつけることができないからです。
私を見た人すべてに妊娠がバレてしまうでしょう。
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しかしこの頃から未亡人となった母アグネスが屋敷の建て替えを計画し、
近隣とのトラブルが発生するようになる。
新しい屋敷の予定地は教会の隣で、
教会へ続く道が一つ壁で封鎖されるため村人たちの強い反感を招いた。


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母アグネスから息子エドマント1世への手紙 1445年

木曜日、壁が1ヤードの高さになりました。
金曜日、誰かが全部突き崩してしまいました。いまだに誰がやったのかわかりません。
司祭様がお越しになり、
「ワリン・キングとワリン・ハーマンが朝のお祈りの時間に副司祭様に
『あの壁は絶対に取り壊すべきだ』と伝えてくれと頼んだ」とおっしゃいました。
私は何と言っていいかわかりませんでした。
司祭様も争いごとは起こしたくないとおっしゃっていました。

日曜日には、
教会でクレメント・スパイサーが「なぜ公道をふさいだんだ」とくってかかってきました。
私は「自分の家の道をふさいだだけだ」と言ってやりました。
それを聞いていたワリン・ハーマンも身を乗り出して、
「あの改築は村にとっていい迷惑で、100ポンドの損害をこうむった」と言いました。
私は「人の話に口をはさむとは、礼儀知らずもはなはだしい」と言ってやりました。
彼は「道をふさいだお詫びとして20ノーブル払うべきだ。そして塀は取り壊すべきだ」
と言いました。
私は「塀を壊した者は誰であろうと弁償させる」と言い返しましたが、
「あんたが常に見張っていればなんとかなるかもしれないが、
結局は金を無駄に使ったことになるだろう」と言いました。
私は「もし塀が引き倒されるようなことがあれば、下手人はお前だ」と言ってやりました。
すると彼は「たとえ20ノーブル取られるはめになろうと、塀を壊してやる」と言い、
ワリンの妻は「地獄の悪魔があの道を作った女の魂を地獄に引きずり下ろせばいい」
と大声で言いました。
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さらに、パストン家の土地財産を狙って他家からの攻撃も始まる。
パストン家付司祭ジェイムズ・グロイスが、
パストン家が土地問題で争っている相手ジョン・ウィンダムと刃傷沙汰と起こす。


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妻マーガレットから夫ジョン1世への手紙 1448年05月

グロイスが町から帰って来た時、ウィンダムとその手下達が運河の側に立っていました。
グロイスは彼らの前を通る時に帽子を取りませんでした。
ウィンダムに非礼をとがめられたグロイスは言い返しました。
するとウィンダムはナイフを抜いたので、グロイスは自分もナイフを抜き、
お義母様の敷地に逃げ込みました。
ウィンダムとその手下たちも敷地に入り込み、
パンの塊ほどもある石を玄関に投げつけて帰っていきました。
争う声を聞いたお義母様と私は聖体拝領を行っていた教会から外に出てみました。
ウィンダムはお義母様と私を売春婦呼ばわりし、
「パストン家は誰も彼も親類縁者に至るまで農奴だ」と言ったので、
私達は「お前は嘘つきの下賤な人間で、お前こそ農奴だ」と言ってやりました。
すると彼はもっと失礼なことをたくさん言いましたが、
それは後で私の口からお伝えします。
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マーガレットが妻の座にあった間、パストン家は3回襲撃を受けている。
1度目は、パストン家が買ったグレシャム荘園を買い損ねたモーリンズ卿が
サフォーク公爵を後ろ盾にしてしてグレシャムの城館を襲い、
一時はモーリンズ卿の手に落ちるという事態に発展した。
パストン家はグレシャムの領地内に一軒家を確保し、起死回生を図った。
この手紙の直後、モーリンズ側は弓矢・銃・刀剣などの武器を手に
大集団でマーガレットが守る館に侵入し、12人いた使用人を蹴散らし、
壁を破って乱入し、一人で部屋に立てこもっていたマーガレットを家の外に放り出した。
紆余曲折を経て、数年後グレシャム荘園はパストン家の所有に戻った。

2度目は、サフォーク公爵がパストン家所有のドレイトン荘園を占拠した。
マーガレットは川を挟んだ隣の領地で守備隊を結成して采配を振るい、
奪還に成功する。

3度目は、4代ノーフォーク公爵がパストン家所有のケイスター城を占拠した。
この時ジョン1世はすでに亡くなっていたため、
未亡人のマーガレットは次男のジョン3世とともに戦ったが、
3000人の兵力には勝てず降伏した。
これも紆余曲折を経て、
ケイスター城はマーガレットの存命中にパストン家の所有に戻った。


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妻マーガレットから夫ジョン1世への手紙 1448年

誠に崇拝に値するあなたに御挨拶申し上げます。
クロスボウとそれを発射する装置、
それから太弓を送って下さるようお願いします。
うちの家屋は低すぎるので、長い矢は発射できません。
これほど必要に迫られている時はないのに。
それから扉を守るのに短い斧を2,3丁と、
できるだけたくさんの革よろいの入手をお願いします。

アーモンド1ポンドと砂糖1ポンドを買って下さい。
子供達のガウンの布地もお願いします。私の頭巾用に、
1ヤード44ペンスか4シリング程度の黒色の広幅ラシャ地を買って下さい。
この町には良い布地も良いラシャ地も売っていません。
ヘイの奥さんの店が、一番安くて一番良い品があると聞いています。
子供達のガウンは、品物が届けば私が縫うつもりです。

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2度目の土地争いでは仲裁に入ったノリッジの司教が、
土地の所有権を示す証文か何かを者をサフォーク公爵に見せたらどうかと提案する。


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ジョン・パストン1世の手紙 1465年
 
紳士たるもの、貴族に迫られて自分の土地の所有権を示す証拠を提出するようでは、
紳士階級の利益と福利に反します。
かくのごとく紳士が貶められるような実例を作る気は、私には微塵もありません。
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by wMUGIw | 2012-01-03 00:00 | 中世
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